住民税の滞納処分を解除するため直談判,市税事務所,給与差押えの停止と回避方法のノウハウ,封印,公示書,

税金滞納処分の行き過ぎと違法性

市税の取り立て強化で起きた悲劇のニュース

市税を滞納し商売道具の車を差し押さえられていたという。
事故の背景に過酷で行き過ぎた取り立ての可能性あり。

下記のニュースは軽自動車で「たこ焼き」の移動販売を業としていた方が、固定資産税など市税の滞納がありましたが、市役所の担当官が突然やって来て、他に所有していた車を含め数台の軽自動車の内、たこ焼き販売専用の車を含め2台の車を差し押さえた。 車には下記の写真にあるようなタイヤロックをかけて運行不能状態にした。

タイヤロックは、本来、自動車の盗難防止装置として販売されているものですが、それを差押えの道具として改良されたもので、自動車を完全に運行不能状態にすることが出来る。

商売道具のたこ焼き販売専用車が突然使えなくなって、悲観したご本人が、一家7人を道連れに岸壁から車で飛び込み自殺を図り、内6人が亡くなってしまった。 幼い子供3人を含む7人の大家族で、家計はかなり逼迫していたようです。

インターネット公売の普及により広範な買受対象が集まることとなり、これと相まって自動車のこのような強引と思われる差押えが増えているようです。

引用 2008年05月29日 朝日新聞より

たこ焼き販売車を差し押さえられ悲観か 熊本の6人死亡

熊本県宇城市三角町の三角港で軽ワゴン車が海に転落し、乗っていた家族7人のうち6人が水死した事故で、亡くなった同町三角浦、今井昭一さん(63)は市税を滞納したため、たこ焼きの移動販売用の車を市に差し押さえられていたことが市や知人らの話でわかった。
県警が27日、現場の実況見分をしたところ、岸壁にはブレーキをかけた跡はなかった。

近所の人らによると、今井さんは95年ごろ、大阪府東大阪市から家族で熊本に戻った。
三角町でアイスクリーム店を開いていたが、同店の収入は少なく、熊本市などでたこ焼きを移動販売して稼いでいたという。

だが、固定資産税など市税計約100万円を滞納。宇城市は市税滞納者の車などの差し押さえを今年度から始めており、今井さんが所有する4台のうち移動販売車を含む2台を今月14日、タイヤをロックして差し押さえた。
残りの2台のうち1台は廃車同然でもう1台が海に転落した軽ワゴン車。今井さんは足腰が痛むなど体が弱っていたのに加え移動販売車を動かせなくなって将来を悲観していたという。

宇城市の宮崎一誠・市民環境部長は、今井さんの車の差し押さえについて「残りの車で営業はできると判断した。
まさかこんな結果になるとは思わなかった」と話した。

引用 朝日新聞 ここまで

2008年5月27日 熊日新聞 朝刊2008年5月27日 熊日新聞

タイヤロックで走行不能に!これは適法な行為か?

国税徴収法によると車の差押えの場合は、引渡しを命じて徴収職員にの占有をさせ、または滞納者や第三者に保管させることができるとなっています。
この場合は、封印などで自動車が徴収職員の占有を明らかにするための公示をする。
また、この自動車の運行や使用をさせないための適当な措置を講じることになっています。(国税徴収法71条5項)これがタイヤロックの根拠となっているのですが・・・。

車のドアに黄色い紙が貼ってあって、車のドアを開けると破れてしまうので、それが封印の役目をしているのを何度か見たことはありますが、下記のようなタイヤロックが、いきなり取り付けられたらショックは大きいかもしれません。

写真引用 枚方市税務室納税課滞納処分差押えのタイヤロック封印

写真引用 松浦市役所税務課 徴収係滞納処分差押えの公示書

税の滞納処分には実情調査が必要である。

税の滞納処分により、財産の差し押さえをする場合には、国税徴収法という法律に沿って、督促状発送や財産調査や実情調査などのプロセスを踏まなければならない。
もちろん、滞納者や第三者を保護するためのルールも定められており、これに反する差押えは違法となります。
特に滞納者保護の観点から違法とならないよう、安易な差押えに歯止めをかけるプロセスのための調査でもあるのです。

ところが、この事件は、納税者の実情を把握せず、行き過ぎた強制処分が行われた典型的な事例であると思われる。

この一家は7人の大所帯でしたが、たこ焼きの移動式専用自動車を使い、たこ焼き販売によって一家の生計を立てていたのですから、当該自動車を差し押さえてしまえば当然に、生活が行き詰まってしまうことは明らかであり、簡単に予測できるはずである。それにも拘わらず、実情調査もせずに、問答無用で営業上必要不可欠な財産の差押えを行い、さらにタイヤロックによって走行不能にした徴収手法は明らかに行き過ぎだといえます。
安易な判断ではなく、しっかりとした聞き取りや調査を行えば、このような不幸な事は起こらなかったのではないでしょうか・・・

納税者の実情を踏まえれば、徴収法71条6項により、タイヤロックはせずに使用を認めることが正しい対処方法だったはずです。その上で、実情に即応した分納制度の適用、場合によっては滞納処分の停止を検討すべきだったと思われます。

※国政徴収法71条6項 : 「徴収職員は、第三項又は前項の規定により占有し、又は保管させた自動車、建設機械又は小型船舶につき営業上の必要その他相当の理由があるときは、滞納者並びにこれらにつき交付要求をした者及び抵当権その他の権利を有する者の申立てにより、その運行、使用又は航行を許可することができる。 」

滞納者を保護するための規定

国税徴収法75条1項5号の「一般の差押禁止財産」
「技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。) 」
となっています。

つまり、職業や事業の継続に必要な機械、器具その他の備品及び原材料などは差し押さえが出来ないことになっています。

また、どの財産を差押えるのかは、徴収職員裁量により選択されるのですが、滞納者からの申出がある様な場合は、諸般の事情を十分考慮の上、行う必要があり、かつ、滞納者の生活の維持又は事業の継続に与える支障が少ない財産であることなど十分留意して差押さえるものとされている。

国民の納税義務はもちろんであるが、上記のことからも行き過ぎた取り立てに違法性があるのは間違いありません。

「滞納整理における留意事項にいて」に基づいて、幹部を交えた審議会を開催し、国税徴収法75条1項5号に規定する差押禁止財産に該当するかどうかの可否を含め、差押の適否について慎重に検討すべき事案でした。「差押え実践・滞納処分の対処法」 東京税財政研究センターより引用

「滞納整理における留意事項にいて」は、国税庁徴収課長が各国税局徴収部長にあてた「通知」です。
この通知は、⇒こちらで公表されています。全商連HP

この文書は、国税庁の内部資料としての「通知」とされていますが、文書の冒頭に「滞納処分の実施にあたり、各担当者が留意すべき事項を取りまとめたものなので、資料として局が主催する滞納整理事務の研修に必ず使用するとともに、会議において活用するなどして周知徹底されたい。」と記されており、実質的には徴収を行う担当職員を拘束する「通達」としての効果のあるような文書となっている。

この文書で最も重要と思われる部分を要約すると、
@滞納整理の目的と基本的な心構えとして、この目的は、滞納処分を通して租税債権の徴収をはかることであるが、そのために徴収職員には大きな権限が与えられている。しかしながらこの権限の行使は滞納者の生活、事業等に重大な影響を及ぼすので、滞納処分に当たっては法令に反することなく、滞納者の実情を考慮し、言動や行動等にも十分配慮し、適正・適法に実施することと、指示しています。
よって、ろくに実情調査もせずに、問答無用で営業上必要不可欠な財産の差押えは、これに反する処分です。
まずは滞納者の実情等を十分把握した上で、やむを得ない場合に限って差し押さえ処分を行うということを示している。

A財産調査時の留意事項として、質問及び検査は、滞納処分のための財産を調査する必要があるときに限り、必要と思われる範囲内においておなうことが出来るものであって、これはあくまでも、強制力を伴わない任意調査であるから、相手の理解と協力を得て行うものであると指示しています。徴収実務において、滞納者の預金照会を銀行に対して「あてずっぽう」「無差別的」に行う行為はこれに反してことがわかります。

また、金融機関、取引先など営業活動に重大な影響を及ぼす調査などにも言及し、その実施に当たって、滞納者の秘密保持に配慮し、納者の納付意思、営業の状況等を勘案した上で慎重に実施することと記されている。

なお、納税は国民の義務であります。事情はともあれ滞納状態になったことには相談者に責任があることは確かです。
やはり税金については可能な限り誠意を持って納税に努める事が原則です。その上で現状の窮状を訴えて、不当な処分は不当であるとはっきり伝えるべきでしょう。
税金の差押え解除はとてもハードルが高く困難です。しかし、状況によっては可能な場合もあります。あきらめる前にご相談下さい。NPOが強制執行や給与差押解除の検討、対処方法のアドバイスを無料で行なっています。

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