税金の滞納処分と不服申立や取消訴訟について、滞納者の保護と差押えの対応

滞納処分の不服申立と取消訴訟

滞納処分から身を守るには

これまで税金滞納処分の停止(解除)についてお話しました。税金滞納者に対する滞納処分の停止のために当センターの担当者が同行して差押えを解除(滞納処分の停止)が認められたことは既にお話ししました。⇒ 給料の差押えを回避
税金・保険料の滞納処分から身を守るには行動を起こさなければならないのです。 しかし、滞納処分の停止を求めてもかたくなに停止を認めない場合も考えられます。
その場合には他の方法も検討する必要があります。

生活を守るのは国民として当然の権利である

滞納処分といえでも憲法25条の保護の下で行なわれる必要があります。 憲法25条では、

第1項
  すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む
  権利を有する。

第2項
  国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障
  及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

となっており、社会権のひとつである生存権と、国の社会的使命について規定しています。生存権とは、人間が人間らしく生きるのに必要な諸条件の確保を要求する権利のことであり、健康で、そして文化的な生活を営む権利がある。そして、国はこれを保障する必要がある。
税金や健康保険料が支払えないほど生活が困窮している者に対する預金や給与の差押えは、違憲な滞納処分となることは明らかです。国民が健康で文化的な最低限度の生活を営むための生活費に税金をかけては決してならないはずです。

憲法25条は生存権を保障し、憲法29条は財産権はこれを侵してはならないとし、財産権を保障している。 生存権的財産の家や預金の差押えは財産権の侵害となります。

不服申立て手続を利用する

不服申立てとは、行政法における行政救済法の一つであり、国民が行政機関に対して紛争の解決を求める法的な争訟手続です。行政庁の公権力の処分に対して、私人が行政機関に対して不服を申立てることをいいます。

行政庁の違法または不当な処分(課税処分、差押えなどの滞納処分等)により自己の権利利益を侵害された納税者は、行政庁に対して不服を申立て、侵害された権利利益の救済(処分の取消しや変更)を求めることができる。

国税の滞納処分に対する不服申立て制度

国税に関する法律に基づく処分についての不服申立ての手続きは、その処分を行った原処分庁に対する「異議申立て」と、国税不服審判所に対する「審査請求」とに分かれている。

国税に関する法律に基づき税務署長等が行った差押えなどの滞納処分等に不服があるときは、その処分の取消しや変更を求める異議申立てができます。 異議申立てに対する税務署長等の決定があった後の処分に、なお不服があるときは、その通知を受けた日の翌日から1か月以内に国税不服審判所長に対して「審査請求」をすることができます。
審査請求に対する国税不服審判所長の裁決があった後の処分に、なお不服があるときは、その通知を受けた日の翌日から6か月以内に裁判所に対して訴えを提起できます。

市税・国保料・国保税の滞納処分に対する不服申立制度

@国保料の場合(審査請求の手続き)

保険料に関する処分や保険給付に関する処分に不服があるときは、各都道府県にある国民健康保険審査会に対し、審査請求を申し立てることができますが、不服申立ができる期間は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヶ月以内に申し立てなければならない

A市税・国保税の場合

地方自治体の長名義によって処分された場合は、地方自治体の長に対する審査請求を行う。 政令市の行政区や市税事務所の長が行った処分の不服申立ては、地方団体の長に対する審査請求を行う。
不服申立期間は、原則として処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヶ月以内に申し立てなければならないのですが、本件のような「滞納処分」に関する不服申立てには、下記のとおり申立て期間の特例があります。

「滞納処分」に関する不服申立期限の特例

ア.「督促」「差押え」を争う場合
督促・差押えに係る通知を受けた日、その通知がないときは、その差押えがあったことを知った日の翌日から起算して30日を経過した後はできない。
イ.不動産等(不動産、船舶、航空機、自動車、建設機械、小型船舶、債権又は無体財産権の「差押え」を争う場合(国税徴収法第104条の2第1項に規定する不動産等。)
その公売期日等の期限後はすることができない。
ウ.不動産等についての公告(公売公告)から売却決定までの処分を争う場合
換価財産の買受代金の納付の期限後はできない。
エ.換価代金等の「配当」を争う場合
換価代金等の交付期日後はすることができない。

大阪市の不服申立書式

●大阪市ホームページ
市税にかかる不服申立て(審査請求)・審査の申出に関する申請書等

不服申立書・審査請求書PDF審査請求書 (pdf, 39.84KB)
不服申立書・審査請求書記載例PDF審査請求書記載例 (pdf, 156.97KB)
不服申立書・審査請求書EXLE審査請求書 (xls, 51.50KB)



一般的なの不服申立書式

●審査請求書ワードテンプレート

不服申立書・審査請求書ワードテンプレート一般的な審査請求書

取消訴訟(抗告訴訟)を利用する

取消訴訟は、審査請求に対する裁決や異議申立に対する決定を先に行った上でなければ提起できない場合もある。

訴えを起こせる期間は、処分または決定・裁決があったことを知った日から6か月以内に提起しなければならないとされているが、差押えなどの滞納処分に関する出訴期間には特例があります。処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要がある、その他その決定・裁決を経ないことにつき正当な理由があるとして、審査請求をせずに取消訴訟を起こす場合は、取消しを求める滞納処分によって、その裁判を起こせる期間が制限されている。
その他、前述の「滞納処分」に関する不服申立期限の特例と同じ。

もちろん、訴訟を起こしただけでは処分の執行や手続の続行を妨げるわけではないので、処分の執行や手続の続行によって重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所に執行停止の訴えをすることができる。

延滞税は免除も可能な場合がある。

処分の執行停止が認められると、延滞税の一部や全額免除も可能性あり。

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