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給料差押え解除

給与(給料)の差押えその1

借金の支払いが出来なければ、債権者は裁判などを起こして強制執行をかかけてくることがあるとお話をしましたが、強制執行を何に対して行うのかによって、我々債務者側も対策を講じる必要があります。
その中でも最もポピュラーな強制執行として、給料の差押えがあります。

◆給料の差押えは、債務者にとって死活問題!

債権者としても、借金の返済が出来ずにいる債務者が、働いてさえいれば必ず給料が入るので、その給料を差し押さえるのが手っ取り早く確実です。
また、給料などの差押えは、債権に対する強制執行といわれています。不動産などに対する強制執行では裁判所が配当を行いますが、供与の差押えは、給与を支払う債務者の勤務先(第三債務者という)へ債権者が直接取り立てることが出来るので、債権者にとっては便利な手続きとなります。(ただし、第三債務者が供託をした場合は、裁判所が配当を行いますので、債権者が直接取り立てることは出来ません。)
給与の差押え写真

差押えを行う側の債権者にとっては便利で都合のよい強制執行であっても、債務者にとっては、給与は労働者が生活していくための唯一の「糧」であって、差し押さえられて、取り上げられると生活がままならないばかりか、生命すら危機にさらされてしまいます。
また、給与の差押えは一回で終わるのではなく、給料などのように毎月継続的に支払われる債権の場合は、1回の差押手続きで、請求債権に満つるまでずっと給料の差押えが続くのですからたまったものではありません。

差押えの解除方法は?

ですから、債務者が会社員の場合は特に差押えをされないように注意するのはもちろん。
差押えをされてしまったら、至急に差押えを解除できるように対処する必要があります。
解除方法や対処方法は、債務者の状況により違ってきますので、早急にご相談下さい。

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給料はすべて差押えられてしまうのか?

●給料の差押えは禁止範囲が定められている。

強制執行といっても、給与の全てが差し押さえられると、まったく生活が出来ません。
そのため、最低でも生活費が捻出できるように、給与の差押えできる範囲が、民事執行法及び政令で規定されています。

まず、基準として、各期間ごとに支払われる給与の4分の1に相当する部分のみについて差押えが出来ることになっており、残りの4分の3は、債務者とその家族の生活のために差押えが出来ないことになっています。

なお、下記養育費等の義務に係る金銭債権の場合は、給与の2分の1に相当する部分について差押えが可能です。

  ①夫婦間の協力及び扶助の義務
  ②婚姻から生ずる費用の分担の義務
  ③子供の監護に関する義務
  ④扶養の義務

しかし、給与の額は人それぞれであり、かなりの差があるので、その不合理を調整するために政令で支払期別に一定額を定めて、それを超過する部分については、たとえ4分の1(または2分の1)を超えることがあっても差押が出来るとしています。

下記の『政令で定められている基準』の額を超える部分については全額差押が可能となります。

●政令で定められている基準。

●支払期が毎月の場合は33万円
●支払期が半月毎の場合は16,5万円
●支払期が10日毎の場合は11万円
●支払期が月の整数倍の期間毎であるある場合は
  33万円×整数倍
●支払期が毎日の場合は1,1万円
●支払期がその他の期間の場合は1,1万円×期間の日数

●賞与及びその性質を有する給与の場合は33万円

●支払期が毎月の場合の例

差押可能範囲
支払期が毎月の場合の具体的な給料差押が可能な範囲は、基本給と諸手当(通勤手当を除く)から、所得税、社会保険料などの法定控除額を控除した残額の4分の1となっていますが、上記の政令で定められている基準のとおり、4分の1が33万円を超える場合(法定控除後の手取額が44万円を超える場合)は、33万円を控除した金額を差押えることが可能です。

【例1】
 基本給 : 24万円
 通勤手当 : 1万2000円
 残業手当 : 1万円
 住宅手当 : 2万円
 源泉税・社会保険料等(法定控除額)
      合計 : 6万円
 財形貯蓄 : 1万円

基本給+諸手当 : 24万円+3万円=27万円・・①
(通勤手当は算入しません)
法定控除額=6万円・・・②
(財形貯蓄は控除対象外です)
  ①-②=21万円・・・③
法定控除後の残額が44万円を超えないので、
差押え可能額は、③の1/4である5万2500円となります。

【例2】
 基本給 : 60万円
 通勤手当 : 2万円
 残業手当 : 13万円
 住宅手当 : 2万円
 源泉税・社会保険料等(法定控除額)
      合計 : 16万円

基本給+諸手当 : 60万円+13万円=73万円・・①
(通勤手当は算入しません)
法定控除額=16万円・・・②
  ①-②=57万円・・・③
法定控除後の残額が44万円を超えるので
差押え可能額は、③から33万円を控除した24万円です。

※手取り金額は法定控除額を差し引いた額を指します。法定控除額とは、源泉税(所得税)、住民税、社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険等)をいいます。その他に労働組合費や共済費、生命保険、積立金、財形貯蓄などは含まれません。
※債務者の生活状況など諸事情を勘案して、範囲の変更の申立てが認められている。
※養育費等の請求の場合は例外的に、2分の1を差し押さえることができます。

養育費等の差押可能範囲

※給与以外にも「債務者が国及び地方公共団体以外から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権(民事執行法152条1項1号)」にも同様の適用があります。
生命保険会社等との私的年金契約による継続的給付債権や信託銀行等からの継続的に支払われる金銭などがこれに含まれます。養育費等もこれに含まれると考えられています。

●差押禁止債権の範囲の変更の申立て

給料の差押え禁止範囲があっても、差押えをされた債務者の生活環境は様々であり、その事情も一律ではないため不都合な事態もあります。
このような場合は、差押え裁判所に対して差押禁止の範囲の変更の申立てが可能です。執行裁判所は、この申立てにより、生活の状況その他の諸事情を考慮勘案して、変更が相当と認められた場合は、差押命令の全部または、一部について取り消される。

前述のように、低所得者が給料を4分の1を差押えされることになると、その最低生活が脅かされる場合の救済は、この申立に委ねることができ、実務上、よく利用されています。

●給与債権と預金債権との違い

これまで説明していたとおり、給料の差押えの場合には全額差押えされることはありません。
しかし、相談のお電話の中に「給料の全額が差し押さえられた。」と慌ててお電話が入ることがよくあります。
お話しを詳しく聞くとそれは「給料の差押え」ではなく、「預金債権の差押え」でなのです。

たしかに、給料が勤務先から銀行振り込みされて、それがそのまま差押えされたら「給料の差押え」と同じと考えても仕方がありませんが、「給料の差押え」は、裁判所(または役所)から勤務先を第三債務者として差押命令が行われますが、「預金債権の差押え」は、銀行などの金融機関を第三債務者として行われるものですからその取扱がまったく違います。

「給料の差押え」には差押え禁止範囲がありますが、預金債権の差押えにはそのような制限はありませんので注意が必要です。もし債権者があなたの勤務先を知らない場合は、預金債権の差押えの可能性があると考え、口座振り込みではなく、手渡しで受け取るようにして下さい。

手渡しでもらった給料を自宅に持ち帰って保管すると、自宅に差押えにこられないかと心配する方がいますが、給料を手渡して受け取るともはや給料という扱いではなく、あくまでも「現金」として扱われるので民事執行法上、現金は66万円まで差押えはできないことになっていますから安心です。
なお、会社の制度上、給料の手渡しが難しいなどの事情があり、結果として預金の差押えをされてしまった場合は、前述の「差押禁止債権の範囲の変更の申立」をするしかありません。

取締役等の役員報酬は全額差押えが可能です。

「給料債権」の差押えと、取締役や監査役などの「役員報酬」の差押えは区別されていますし、差し押さえができる範囲が根本的に違います。
会社の従業員はの、勤務している会社との間で雇用契約を締結しています。給料は雇用契約による労働の対価として請求できるものです。しかし、取締役や監査役などは会社との間で、雇用契約ではなく、委任契約を締結していますので、役員報酬には、民事執行第152条(差押禁止債権)の適用がなく、役員報酬の全額差押えが可能ということになります。
また、外交員として報酬をもらっている場合の扱いは、その契約によって違ってきます。雇用契約なら民事執行第152条の適用があると考えられますが、委託契約や委任契約、請負契約であれば全額差し押さえられる可能性があります。
なお、雇用契約と記載されていても、契約の内容が実質的に請負契約と同様であれば、判断は変わってきます。

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給与の差押えで借金延滞の事実を勤務先に知られる

給料の差押えを受ける場合は、お勤めの会社に裁判所から差押命令書が送達されるので、借金の返済が出来ていないなどの事実を会社に悟られてしまいます。
だからといって、会社を辞めさせられることはありません。
(このようなことでの解雇は懲戒権の乱用となります。)

本来支払われるべき給料を支払わないだけなので、直接会社に損害を与えるわけではないのですが、会社は給料の差押さえられる部分と支払う部分を分けて計算し、差し押さえられた部分の給料は金融業者が直接会社に取り立てを行うため、それなりの手間がかかってしまうので、勤務先には嫌がられるのは必至です。

なお、2社以上の債権者から差押えがかかると、勤務先の会社は差押え部分を法務局に供託しなければなりません。計算を間違ったり対応を誤ると二重払いの危険さえあるので、差押え部分だけではなく、全ての給与を供託されてしまうと、一時的にであっても給料が手元に1円も入いりません。

前述のとおり、給与の差押えを受けたからといって、勤務先の会社から処分を受けることはありませんが、お金の管理に対し、だらしがないなどと判断されては困ります。
中には、勤務先からの無言の圧力で、居づらくなって、自ら会社を辞める人もおられます。
今後の出世にかかわると一大事です。 出来ることなら給料の差押えを受ける前に対策を講じたいものです。
是非とも相談して下さい。

給料の差押え解除方法や対策はいくつもあります。

既に給与の差押えや預金の差押えを受けている場合であっても解除方法はいくつもあります。特に会社の信用をこれ以上失いたくなければ、早急に対策が必要です。
それぞれの皆さんの状況によって方法論は変わってきますが、専門的であったり、時間がかかるものもあるので、すぐにご相談してほしいと思います。

NPO法人が強制執行・債権執行や給料の差押解除の検討や対処方法の相談・アドバイスを無料で行なっています。

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給与Q&A

: 裁判所から訴状が届きました。 このような場合は、必ず給料を差押えされるのですか?

: 訴状が届くと今後裁判が始まります。
答弁書の提出をせず、また裁判に出席しないと債権者の主張を全て認めたことになります。債権者の主張が認められたそのままの内容が判決になりますので、今後財産の差押えを受ける可能性があります。

差押えを回避するためには、答弁書や準備書面で反論やこちらの主張をしっかりと記載しておかなければなりません。
また、財産のや給料の差押えを避けるために分割支払いの和解を希望する場合はその旨も記載しておかなければなりません。答弁書の記載は専門的な知識も必要ですので、出来ることならば弁護士(訴額によっては司法書士)に依頼する方がよいでしょう。

なお、どの財産に対して執行するのかは債権者が決めます。
給料を差押えるためには勤務先が分かっていなければなりませんので、勤務先を知られていなければ執行される可能性はありません。

預金を差押える場合は少なくとも、銀行名と支店名まで特定しておく必要があります。預金債権の場合は、特定できていなくとも、債権者の当てずっぽうで行われることもありますので注意が必要です。

: 既に給料の差押えを受けており、法定控除を除いた4分の1を控除されています。ところが他の債権者も差押えしてきました。今後は倍額を差し引かれることになるのですか?
(2社以上から差押えられた場合)

: 給料の差押が可能な範囲はこれまでお話ししたとように、給料から法定控除を除いた4分の1をとなり、残りの4分の3は差押えが禁止されています。

複数の債権者から差押えをされたとしても、差押えが可能な範囲は4分の1と決まっていますので安心して下さい。

このように同一の目的債権について、差押えが競合をした場合には、債権額に応じて按分して配当されることになっています。 また、このように差押えが競合する場合に勤務先は、4分の1の額を供託する義務を負います。

供託所は債務の履行地の供託所に行いますが、給与債権は、労働契約における特約等がない限り勤務地において支払う取立債務とされているので、勤務地の所在地の供託所に行われた上で、執行裁判所が各差押債権者等に所定の手続きを経て、配当手続きが行われます。

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