時効制度の存在理由とは?
長期間権利を行使しないと権利が消滅する。
社会生活の中で人々が社会の一員としていろいろな活動が行われます。 もちろん、この社会は人の集まりによって形成されているため、これを保つためには、人々の相互関係においての権利や義務の内容について一定のルールがないと秩序が維持できないのです。
このような一定のルールを定めたのが民法であり、時効制度はこの民法に規定されています。(民法144条〜174条)
ある事実の状態が一定の期間継続してしまうと、その事実の状態によって、権利や法律関係の得喪に変更を生じさせる制度のことをいいます。
時効制度には、一定期間権利を行使しないことによって、権利そのものが消滅してしまう場合と、一定期間ある事実状態が継続するとその事実状態に見合った権利を取得する場合とがあります。つまり時効には、基本的な分類として前者の消滅時効と後者の取得時効の2種類があるということになります。
そして、その2種類のそれぞれに短期・長期の時効期間が存在します。
なお、消滅時効に類似したものに、「除斥期間」というものもあります。
このサイトでは借金問題に関わる問題として特に消滅時効について解説しています。
消滅時効とは、たとえ権利を持っていても、長期間行使しないと権利は消滅してしまい、その後、権利を行使しようとしても認められなくなってしまう制度です。
なぜ「時効制度」が設けられたのだろうか
消滅時効の効果によって、債務者は本来履行しなければならない債務を免れられることになり、本来根拠のない権利を得てしまう一方で、本来は権利者が行使できるはずの権利を失なわせることになってしまう。
例えば、借金をしたら、当事者の権利や義務について、そして、その支払い方法や利息などのについても法律でこと細かに規定されているにも拘わらず、なぜ?時効にかかってしまえば返済をしなくてよいという一見矛盾した内容が法定されているのでしょうか?
これを検討するには、そもそも時効は誰を保護する制度なのかという「目的」と、それを正当化するための「根拠」が重要であり、時効制度の存在理由として以下の三つが挙げられる。
- @永続した事実状態の尊重
- 長期間継続した事実状態が存在しますと、実際の社会生活では、それを前提にさまざまな法律関係が形成されていくものです。
もし、その事実状態が真の権利関係と異なっていることを理由に覆えることになると、社会的混乱を招くことになりかねません。
そこで、一定期間継続した事実関係を正当な権利として尊重し認めることで、取引の安全を保護し、社会的混乱を回避するとともに法的安定性を保持させようとするもの。 - A権利の上に眠る者を保護しない
- 「法は自らの権利を守る者のみを保護し、自らの権利を放棄し、権利の上に眠る者には法的保護は与えられない。」という法諺から生じた考え方であり、自らの権利は自らが闘い取るべきである。その反面、たとえ正当な権利者であったとしても、一定の期間その権利を行使・維持するために必要な措置を採らずに放置する者は、その権利を失ってもやむを得ず、特に保護する必要はないというもの。
- B立証の困難の救済
- 本来は正当な権利者であったとしても、長期に渡って一定の事実関係が継続した場合に、その事実関係が正当な権利に基づくものなのかどうか争いが生じ、既にそれを証明する証拠が散逸していることが多く、それらを立証することが困難になります。
特に債務者にとっては、実際に債務を弁済したにも拘わらず、あまりに期間が経過していると領収書を紛失するなど、債権者から二重に請求される危険性などもあります。
然るに、そのような争いを蒸し返すことは、むしろ妥当とはいず、過去に遡っての議論に一定の限界を設けるというもの。
時の経過によってすべてのことは正式に行われたものと推定される。社会現象が幾重にも複雑に絡み合ってくると、それを否定することがかえって社会の信頼を破り、その秩序を乱すこととなる。時効が認められる由縁はここにあります。
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