特定調停の注意点
昨今、インターネットや書籍にて特定調停について書かれたものが多くあります。
費用も安く申し立て手続きの手軽さから、どのようなケースでも万能かの様に錯覚しがちですが、
よくよく注意が必要なのです。
「借金が簡単に減らせる」という甘い言葉につられて、
安易に申立てを行った方が上手くいかず苦い思いをするケースの相談が増えています。
特定調停の大きなメリットは、費用が安という点でしょう。
原則的に本人の手による事件解決を前提にしているため、申し立て費用は印紙、郵券を含め1社毎に1000円前後と非常に安く、
弁護士費用が捻出できない方には、有効な手続きとなります。 また、申し立て手続きも非常に簡単で、
簡易裁判所にて丁寧に教えて戴けます。
しかし、特定調停を成立させるためにはいくつかのハードルがあります。 それは債務者のさまざまな条件が整うことと、債権者の協力が得られること、そして調停委員の理解と努力。 これらが揃う必要があるのです。
●任意整理を行ったほうが安心な場合もあります。
特定調停で話し合いがつけば合意した内容が記載された「調停調書」が作成されます。
しかし調停調書には判決と同じ効力があり、この調書に従って支払えている場合はよいのですが、
支払いが滞った場合は強制執行を受ける場合もあるので注意が必要です。
任意整理では弁護士が行ってくれる利息の再計算などは自分で行い、また理解しなくてはなりません。
調停委員がいるとは言っても、直接債権者と相対して話し合わなくてはならないこともありますので、
かなりの知識と理論武装が必要です。
また特定調停は、あくまでも話し合いによる解決を求める手続きですので、強制力がなく、 合意不成立となった場合は断念しなければなりません。
総じて、弁護士に依頼する任意整理と比べ、調停委員の力量にも左右され、 和解結果に差が出る場合があります。結果的に、弁護士費用など含めても、 今後の支払総額は「任意整理」の方が安く済むこともあります。
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