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Q15: 自己破産をすると家財道具も差押えをされてしまうの?

Answer

一般的に、皆さんが描く自己破産のイメージはあまりよくありません。
「財産の差押え」をされるのではないかという不安感もその一つでしょう。
自己破産手続きを申し立てたとたんに、大勢の債権者が押しかけて、 家具や電化製品などを全て持ち去られる。そんな悲惨なことを想像する方も少なくありません。

しかし、結論からいうと、そのような心配は必要ありません。
まず、家財などの差押えは、債権者が勝手にできるものではありません。
裁判所の勝訴判決や公正証書など(債務名義といいます)が必要です。そして、執行官に対して申立を行うのですが、差押えは手当たり次第にできるわけではなく、「民事執行法」に従って行われます。民事執行法には差押が禁止されているものが定められています。

差押が禁止されている代表的なもの
●生活に必要な家具、電化製品、衣類、
  寝具、日用品、台所用品など。
●2ヶ月の生活費として99万円の現金
●本人や家族の学習教材、機器
●礼拝や祭祀に必要なもの、位牌、仏像
●職業や営業に必要な道具、器具

これだけ見ても、既に一般家庭にある品物はほとんど網羅されています。
このような条件を考慮すると、一般家庭にあるもので差押えが可能なものといえば、 車、美術品、骨董品、宝飾品などでしょう。
実は、一般家庭の家財道具に対しての強制執行は、ほとんど執行不能に終ってしまう現状なのであまり利用されていません。

差押え家財道具一式

このように家財道具の差押えはあまり実効性がないようなのですが、給与の差押えや預金の差押えは、今でもよく行われています。
ところが、給与の差押えや預金の差押えは、支払いが滞っている場合に債権者が申し立てて行うものであり、破産の申立をした裁判所が行うものではありません。
それどころか、破産手続きが開始されると、もはや差押は禁止されてしまいます。

ですから、質問のように、「自己破産をすると家財道具も差押えされる」のではなく、「自己破産をすると家財道具も給与も差押え出来なくなる」というのが正解です。
皮肉な話ですが、前述のように皆さんが描く自己破産の悲惨なイメージが先行し、自己破産すると債権者が差押にやってくると思い込んでしまい、既に支払い不能なのにもかかわらず、自己破産だけはしたくないと堪え忍んでいるうちに、給与などの差押え受けてしまい、日常の生活さえも事欠く状態になり、最終的に破産に至る。

他方、専門家に相談をして、このような誤解をすることもなく、早期に破産の申立を行なった方は、差押などを受けることもなく、普通に日常生活をしながら破産を完了することができた。
先入観を持たずに、正しく自己破産を理解するため、早期に相談をしましょう。

なお、自己破産手続きにおいて、土地や建物、高額な預金、株券、車などめぼしい財産を所有している場合は、管財人が選任されて、その財産を売却して債権者に配当されることになります。
しかし、前述の日常生活に必要な家財道具や日用品など、差押えの禁止されている財産については、破産処理の際にも処分してはならないと法律によって定められおりますので管財人に引き渡す必要はありません。

なお、家財道具といっても格段に高価な物品などは処分される可能性はあります。
たとえば、テレビなどは生活用品として処分対象外となっていますが、 購入価格が数十万円もするような大型プラズマテレビや大型液晶テレビなどは処分を指示される可能性もあります。

これらの場合も、その物品の評価額と現金を含めても99万円以下の場合は、自由財産の拡張を認める裁判所もあります。また、99万円の基準に加えて、個別の基準を設け評価額を20万円までを自由財産、または拡張可能なものとして柔軟に運用している裁判所もあります。

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