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Q12: 自己破産すると子供の進学や結婚の障害になりますか?

Answer

自己破産は、債務者が経済的に破綻し、債権者に対する債務を弁済できなくなった場合に、原則として債務者の生活に欠くことの出来ないものを除く財産および自由財産として認められている財産以外の財産をすべてはき出すことにより、借金を免除して、債務者の以後の再生の機会を与えるというのが趣旨です。法律で認められた権利であり、債務者の新たな社会生活の再出発を行うための制度なのです。

たくさんの借金を抱えてしまった方にとっては、とてもメリットの高い手続きなのですが、その替わりに、とんでもない状況が待ち受けているのではないかと心配されている場合があります。
たとえば、戸籍や住民票に記載され、選挙権を剥奪され、海外旅行も制限され、会社も解雇されることになる。そして、本人に止まらず、子供の進学、結婚、就職などで不利になると悩んでおられる場合です。

親子の写真

これらは、すべて誤解といっていいでしょう。
まず、破産したという事実が第三者に分ることは、ほとんどありませんし、本人に関しても困るような不利益もほとんどありません。選挙権もなくなりませんし、戸籍や住民票に記載されません。もちろん、会社も解雇などされません。
ただ、本籍地の「破産者名簿」には自己破産したことを記載されます。しかし、他人が破産者名簿を見ることは出来ませんし、破産手続きが完了すると削除されますので問題はありません。
また、破産手続きが開始されると、「資格制限」があり、生命保険の募集員や証券会社外務員など一定の職業(破産者の資格制限についてを参照)に就けないなどの制限があります。これについても破産手続きが完了すると解除されますので、本人にとって不利益というほどのものではありません。

本人に不利益がほとんどないわけですから、その子供に対する影響は皆無だといえるでしょう。ですから、親が自己破産をすることによって、子供が進学できなくなったり、就職できなくなったり、結婚できなくなったりすることはありません。
また、前述のように、公言しない限り他人には破産の事実を知られる可能性はほとんどありません。
万一、親の破産を知られた場合であっても、そのことを理由に、子供が差別を受けることも、ほとんどあり得ないといえます。
また、法的には、両親の破産を理由に、子供の就学を拒否したりすることはできず、婚姻を解消したりすることもできません。

企業が行う雇用調査について
稀ではありますが、選考時に興信所に依頼して身辺調査を行う企業が存在します。ほとんどの場合は、氏名・住所の確認と、履歴書の内容をもとに学歴詐称や経歴詐称はないかの調査が目的だと思われます。
ところが「資産借金状況」「 生活状況・交友関係」など、本来なら極めて保護されるべき個人情報が含まれている場合も存在しています。
興信所は、近隣の聞き取りなど独自の調査方法によって報告されていると思われるのですが、中には「貸金業法指定情報機関」の個人使用情報の記載と同じ報告がされている例があります。
これは、金融会社が顧客の与信を判断するための参考資料であって、雇用調査には利用出来ないことになっています。また、個人情報として厳重に管理されているため、明らかにイリーガルな手段により入手された内容であり、法的にも問題があるものと思われます。
また、職務遂行能力の判断に関係のない思想・信条、家族の犯罪歴や破産歴などを合否の判断材料にしていることも未だ存在するようです。(興信所や探偵社が思想・信条などの調査をすることは人権侵害にあたり禁止されています。)
企業が判断材料とすることは、「採用の自由」によって、当然に違法とはされない判例もあるのですが、厚生労働省では、思想・信条や家族状況、生活環境等を採用基準としないよう企業に協力を求めています。このように、近年、立法・行政指導等により企業の採用の自由は制約される傾向にあるといえるでしょう。

なお、懸念される一番の問題は、子供への影響を思い悩み、自己破産に踏み切れない場合に受ける債権者からのプレッシャーや精神的に挫折してしまい、立ち直ることが出来ない状態、このような親の姿が子供に与える影響こそ心配されるのです。

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