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◇「事例知り未然防止を」--徳村美佳さん(43)
「肌のチェックを」と言われ女性販売員を家に上げたら、高額な化粧品を買わされた。会社の先輩の借金に名前を貸したために消費者金融に手を出し、多重債務を抱えてしまった――。今月発売の「消費者のための法学―トラブルの未然防止をめざして」(ミネルヴァ書房)は、実際にあったこんな事例を紹介し、トラブルに巻きこまれないためにはどうすればいいかを考えてもらおうという本だ。著者の一人、徳村美佳さんはNPO法人「お金の学校くまもと」の代表を務める。「トラブルに遭わない方法は」「お金の学校ってどんな学校」。徳村さんに聞いた。【伊藤奈々恵】
――本を読むと私も引っかかりそうな事例が多いです。
◆すべて実話です。事例を知り、どこで引っかかったのかと考えることがトラブル防止につながると思いまとめました。
従来の消費者トラブルの本は事後救済がほとんど。この場合はクーリングオフが出来る、それがダメなら消費者契約法、とね。でも、その前に未然防止が必要でしょう。NPO法人「お金の学校くまもと」も多重債務者問題の未然防止を目的に作りました。
――どんな活動を。
◆未然防止のための教育とカウンセリングなどです。学校に授業に行くこともありますよ。例えば、高校生に「もし携帯をなくしたら」と考えてもらう。不安になる、孤独になる――といろいろ出てきます。そういうリスクを予想すると、対策を考えるんです。事後救済の対策、未然防止の対策。それが結果的に予防教育になる。お金も一緒。お金がなくなったらどうするか、予想して対策を考える。そういう習慣をつけることでお金のトラブルも減るはずです。
――NPO設立のきっかけは。
◆消費生活センターの相談員だったのですが、あまりにも多重債務の問題が多い。破産したのにまたお金を借りてしまった、というような相談を受けると、仕事に限界を感じました。啓発活動にもかかわったのですがそれにも限界を感じて。啓発から一歩踏み込んだ「教育」が必要だと思いました。設立は04年。弁護士、社会福祉士、元クレジット会社員などいろいろな立場の人がいます。
――お金について教える団体は珍しいですが、なぜこれまでなかったのでしょうか。
◆社会の変革に伴いお金との付き合い方や、お金の支払い方も変わりました。クレジット社会が進み、今や子供にもクレジットカードの考えが広まっている。以前は、大人になってからお金との付き合い方を身に着けていったのだと思うのですが、そうはいかなくなった。
加えて、お金のことを人前で話すのははしたないという考えがあったからかもしれません。でもお金は生きるための道具。道具の使い方を教えることが必要なのは自動車学校と一緒です。
――トラブルに巻き込まれないためには。
◆他人事と思わずに、感覚を磨くことですね。なぜこの人は引っかかったのかと考えれば、何かあった時に「待てよ」と思い出せる。それと自分の弱さを知ることです。「断れない」という人もいる。そんな人には「断われる人と一緒にいて下さい」とアドバイスします。断れる人と仲良くしておいて、いざというときは呼んで断ってもらって下さいと。
私は断れるタイプですが、同情してしまうので「助けてください」なんて言われたら分からない。訪問販売で「ドアを開けてもらったの初めてなんです」と、まだ慣れない感じの販売員に言われて家に上げた例を書きましたが、あれには私も弱い。弱いと知っているので気を付けなければと思っています。
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◇プロフィル
消費生活アドバイザー。消費生活センターの相談員や県金融広報委員会での広報活動を経て04年にNPO法人「お金の学校くまもと」を設立、消費者教育活動を続ける。「消費者のための法学―トラブルの未然防止をめざして」は九州看護福祉大の野崎和義助教授との共著。夫と娘2人の4人暮らし。玉名市在住
2006年12月10日朝刊
(毎日新聞より)
ヤミ金:県内外の42の業者を告発--高松あすなろの会 /香川 8月3日17時6分配信 毎日新聞 無登録の貸金業者がダイレクトメールを送ったり、電柱などに広告を張っているのは違法だとして、多重債務者を支援している「高松あすなろの会」(鍋谷健一事務局長)は2日、貸金業法違反容疑で県内外の42のヤミ金業者を告発した。先月26日に約4000業者を告発した全国一斉のヤミ金業者告発の一環。県に対しても、悪質な業者については知事登録を取り消すことなどを求める要望書を提出した。
8月3日 毎日新聞より