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具体的な時効の中断事由

具体的な時効の中断事由

■時効中断には種類がある

時効の中断にはどんなものがあるのか?
民法147条から156条にかけて中断事由が定められています。
時効中断事由は、大きく分けて下記表の通り①請求(裁判外の催告、裁判上の請求)、②差押え、仮差押え、仮処分、③債務者の承認があります。

時効の中断の内容

●裁判外の催告

裁判外の催告とは、裁判外で行う請求のことです。
債権者が債務者に対して請求書や督促状を出すことが、まさにこれに該当します。 ただし、請求を繰り返すだけでは時効は中断しません。

通常、時効が中断すると、一から時効が再進行していくことになるのですが、裁判外の催告(一般的には請求、催促などという)は、例外であり、債権者が口頭や文書で請求をしても、6ヶ月以内に裁判上の請求をする必要があります。
たとえば、消滅時効期間の満了が間近に迫っている場合は、取り急ぎ文書で債務者に請求しておくと、その後6ヶ月以内に裁判上の請求を行えば時効はかかりません。

このように裁判外の催告は、裁判上の請求に比べ効力は弱く、あくまでも予備的な措置であり、6ヶ月以内に裁判上の請求を行わなければ、そもそも、単独では結果的に時効の中断の効果はありません。

裁判外の催告は、口頭でも文書でもかまいませんが、実務では証拠を残すため、口頭での催告なら立会証人が必要です。
文書の場合は、相手に届いている必要があり、かつ、その有無が争われた場合には、その点が立証できないと意味がありませんので、そのためにも催告は、内容証明郵便を利用するのが一般的です。

時効完成直前の催告が債務者に到達したときから6ヶ月以内に裁判上の請求等をすることを条件に、「その到達後」6ヶ月の期間だけ時効の完成を引き延ばす効果が認められているだけです。 また、6ヶ月の起算日は、本来の時効完成時ではなく、催告が債務者に届いたときからですから、届いた日を証明するため内容証明郵便は配達証明付にする必要があります。 注意すべきは、郵便局で内容証明郵便を出しても、当然に配達証明が付いているわけではないので気をつけて下さい。

なお、この催告は1回限り有効で、6ヶ月毎に繰り返すことはできません。 その後にいくら催告を重ねても、さらに6ヶ月ずつ時効の完成を引き延ばせるわけではありません。

●裁判上の請求

民法第174条は、時効中断事由の一つとして、「請求」をあげています。 しかし、前述の通りこの請求は、「裁判上の請求」を差しています。

また、支払督促、即決和解、破産参加等、下記に記載したものも含めて「裁判上の請求」と捉えています。

  • ①訴訟の提起
  • ②支払督促の申立て
  • ③民事調停の申立て
  • ④即決和解の申立て
  • ⑤仲裁申立て
  • ⑥破産手続き参加
  • ⑦再生手続き参加
  • ⑧更生手続き参加
  • ⑨破産手続き開始の申立て

例えば、訴訟による中断の「始期」は訴えの提起の時からです。訴えの提起の時とは、 訴状提出の時であり、被告に送達された時ではありません。

※第149条(裁判上の請求)
裁判上の請求は、訴えの却下又は取下げの場合には、時効の中断の効力を生じない。

「裁判上の請求」による中断の効果は、その裁判が継続している間は、中断の効果が続きます。
しかし、裁判を取り下げたり、却下されたときは、訴えの提起の時に遡って中断の効力はなくなります。
つまり、最初から訴訟は提起されなかったことになります。

※第174条の2(判決で確定した権利の消滅時効)
1 確定判決によって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、10年とする。裁判上の和解、調停その他確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利についても、同様とする。

これらによる消滅時効は、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は10年に伸長されます。

■訴訟の提起
裁判上の請求の代表的なものは、訴訟(裁判)です。
この場合は、債権者が裁判所に訴状を提出したときに時効が中断します。 しかし、訴えの却下又は取り下げられると、訴状を提出したときに遡って中断はなかったことになります。

裁判所の正義の女神テミス

訴訟が始まると、訴訟が続いている間は時効は中断したままとなります。判決が確定(確定判決)すると、その時から新たに時効は進行しますが、その後は10年経過しないと時効にはかかりません。
この場合は、商事債権など5年の消滅時効であっても、他の短期消滅時効であっても、種類に関係なく10年に伸長されます。ですから10年経過しないと時効は完成しないことになります。

なお、日本での訴訟(裁判)は、三審制となっています。
判決に不服な場合、裁判の確定前に、上級の裁判所に対し、もとの裁判の取消し・変更を求める不服申立てを合計3回まで受けることができる制度です。

第一審の判決に不服な場合、控訴を、さらに、第二審の判決に不服な場合、上級の裁判所(最高裁等)に上告します。
当事者が望めば、原則的に3回までの反復審理を受けらるのですがその間、判決はまだ確定しません。

確定判決とは、判決が言い渡されあと、控訴・上告期間の2週間が経過して確定した判決のことです。最高裁の判決は送達の時に確定します。

もちろん、請求は認容されてはじめて時効は中断するので、請求棄却の判決ならば、もとより請求権がないので、訴訟提起の時に遡って中断の効力は無かったことになります。

訴訟にはいろいろな形式がある。

訴訟で一番ポピュラーなものは、債権者(原告)が債務者を被告として「金〇〇〇万円を支払え」と金銭の支払いを求める「給付の訴え(給付訴訟)」があります。この場合はまさにその債権者がもっている請求債権の消滅時効は中断します。
その他「確認の訴え(確認訴訟)」「形成の訴え」「反訴の提起」も消滅時効は中断します。

では、債務者が原告となって、債権者を被告として「金〇〇〇万円の債権は存在しないことを確認する。」という「債務不存在確認訴訟」を提起した場合に、債権者が「応訴」したときも時効は中断するのでしょうか?
昭和6年12月19日の大審院の判例では、債権者が自ら原告となって積極的に訴訟を提起して債権を主張したものでない以上、裁判上の請求として時効中断とはならないとしました。

しかし、後に判例が変更されて、被告が請求棄却の判決を求める答弁書または準備書面を裁判所に提出した時を以て時効中断の効力が生ずるとしました。 なお、応訴の結果、債権者が勝訴し、「原告(債務者)の請求は棄却する。」と判決がでなければ中断の効果はありません。(昭和14年3月22日大審院判決) このあと判例は現在まで踏襲されています。

要するに、裁判形式にとらわれず、実質的に債権者の権利主張があったかどうかを重視されているものです。

さらに、最高裁昭和44年11月27日判決では、抵当権設定登記抹消登記手続請求の訴えに対し、被告の債権者が被担保債権の存在を主張した場合には、被担保債権の消滅時効は中断するとされています。

支払督促の申し立て
支払督促は、簡易裁判所の書記官が、債務者に金銭の支払を命じる制度であり、かつては「支払命令」と呼んでいました。

支払督促は訴訟の提起に比べて簡単な手続きですので、時効中断の実務ではよく利用されています。
支払督促は、申立てをしたときに時効が中断します。

支払督促の申立があると裁判所書記官は決定をするだけで、法廷を開いて債務者の言い分を聞いたりはせず、証拠の提出もいりません。債権者の申立だけで理由ありと判断されると、一方的に支払を命じる制度です。理由なしと判断された場合は却下されます。却下されると時効の中断もありません。

支払督促は債務者の言い分は一切聞いていないので、これが不当だという場合は、支払督促が債務者に送達されてから2週間以内に異議の申し立てをすることが出来ます。
督促異議の申立があると支払督促は失効し、最初から訴訟の訴えがあったものと取り扱われ、訴訟に移行します。

債務者から2週間以内に異議の申立がない場合、債権者は30日以内に仮執行宣言の申立をしなければなりません。仮執行宣言の申立をせず、30日が経過してしまうと支払督促の効力は失われ、時効の中断も最初からなかったことになります。
債務者は、仮執行宣言を付した支払督促が送達されてから2週間以内に異議の申し立てが出来ますが、異議の申し立てをしないまま2週間が経過すると、支払督促は確定判決と同一の効力があり、その後は10年間、時効にはかかりません。

なお、支払督促の送達ができないと時効は中断されません。債務者が受け取りを拒否した場合も時効は中断されません。
債権者は『休日送達の再送達』の上申や『就業場所送達への再送達』の上申が出来ることになっていますが、それでも受け取らない場合は『書留郵便に付する送達』の上申が出来ることになっています。(付郵便送達)

書留郵便に付する送達とは、債務者がそこに住んでいるのに、意図して受け取らない場合に、相手が受け取っても受け取らなくても送達済として扱われるものです。
ただし、住所不明の場合は、支払督促では公示送達は出来ないので不向きです。

 → 具体的な時効の中断その2

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